入試数学分析 第2弾 昭和大学医学部編
- reussir
- 2020年4月29日
- 読了時間: 6分
今回は昭和大学医学部の数学の問題の分析、戦略を書いていきたいと思います。今回は特に選抜期間1期の試験についてです。
昭和大学医学部の基本情報

注1:数Bに確率と統計も含む
注2:英語と合わせて140分のため時間配分は試験時間内に自分で決める
このようになっています。昭和は医学部受験生の間でも非常に人気のある大学で、最大の特徴は英語と数学を同じ試験時間内に解かせる形式であるということです。これが意味することは戦略によって大きく点数が変わってくるということです。忙しく時間がないため過去問を1回見る程度で受験するということがどんなに不利であるかを知らずに受験する受験生が多いのが現実です。多くの医学部受験生を見てきた中で昭和大学は特に今までの学力と合否の結果の相関関係が低い大学という印象です。あの優秀な子が落ちた。逆にあの成績がそんなに良くない子が受かった。このような現象が起こる理由の1つがこの入試制度だと思われます。
次に問題内容についてです。問題構成は4題構成になっており、基本的に全ての大問がいくつかの小問で構成されています。前の問題が次の問題の誘導になっているタイプの小問と完全に独立している小問の2種類あり、どちらかというと後者の方が多いという印象です。年度によって問題の傾向や難易度は変化しますが、近年の傾向を簡潔にあげるなら
・数AB 確率 数Ⅲ 微積の割合が高い 問題自体は基本的な問題が多い
・数Ⅰデータの分析、数B確率と統計の2分野にまたがる内容の出題(期待値、分散といった内容)
・問題文の説明がやや回りくどく、分かりにくい問題もあるが、やっていることが分かれば難しくない
それでは実際に2020年度の問題についてどのような戦略で合格点をとればいいのかについて書いていきたいと思います。実際の問題はお手数ですが、赤本やインターネットを参照してください。
注意! 過去問の内容を含みますので、見たくない方は注意してください。問題を解き終わった後に見ることを推奨します

試験問題を開いたときにまずやってもらいたいことは解き始める前に全ての問題に目を通すことです。特に①は量が多い問題がくることが多いです。この問題に時間がかかってしまい、後ろの簡単な問題が解けずに終わるという事態は最悪です。必ず全ての問題に目を通して解く順番を決めましょう。今回の場合ですと②の数列、③の楕円、確率から解き始めることが良いと思われます。②の漸化式の問題は両方とも解けるタイプの漸化式ですので問題集等で練習した漸化式の解く方法で解けます。また答えのみを記入する形式ですので記述が書けなくても答えが予想できれば勝ちです。(2)の場合実験をすることで一般形が分かるので
①図形の回転
この問題は(3)まではやることが単純明快でぱっと手を付けてしまいがちですが、計算の工夫や幾何的に解く解法をとらないと計算量が多くなり、計算ミスをしやすくなります。例えば(1)でOBの長さを求める計算をした後にまた一から計算してOCの長さを計算する。(2)ではβ,γ,μの3点全てを複素数の回転させる計算を行う。このような馬鹿正直な計算をすると時間が足りなく無くなってしまいます。やることが簡単な分問題を解きたい気持ちはわからなくはないのですが、工夫をして解く意識がないとかなり時間がかかってしまいます。特に昭和大は時間制限が厳しいのでこの①に時間をとられてしまうと数学だけではなく英語の点数まで影響を及ぼしてしまいます。問題を解く中で計算の工夫ができないかという視点と図形的に見れないかという視点を常にもつことが大切です。(4)は少し難しいです。中点Mという誘導の意味が理解できたら解けますが、時間的に厳しいでしょう。間違ってもB”とC”の座標を計算しようとしてはいけません。計算量が多すぎると感じたら飛ばすことが大切でしょう。時間がかかって他の問題の出来を左右するという意味で今年のキー問題だったと思います。
②漸化式
この問題は得意不得意で差がつきそうな問題です。基本的な漸化式の解き方が身についている人はただの計算問題です。逆に解き方が全然分からなかった人は漸化式の解き方を復習しておきましょう。注意すべきことは(2)は最悪解き方が分からなくても実験をして答えが予想できるということです。ある意味こちらのやり方が答えを求めるだけなら早いです。答えを書くだけの形式では途中過程は関係ありません。(3)は特性方程式の解が汚いので文字で置いて計算を進めることがポイントです。
③楕円 確率
この大問は2つに分かれていて(1)の方は楕円、(2)は確率です。(1)の楕円の問題は教科書レベルの基礎問題なので即答しましょう。2次曲線の分野はないがしろにしやすい分野ですが、私立医学部ではこのように小問で頻出なのでしっかり確認しておきましょう。(2)の確率も難しくなく、もれなくダブりなく丁寧に計算するだけです。この大問は比較的解きやすく、満点を狙いに行くべき大問でした。
④微積総合
この問題は微積の計算問題3問のセットです。(1)は瞬殺できます。底がeでないことは注意してください。(2)は問題文は積分の形を使っていますが、意味が分かればただの数列の和の計算問題です。問題文、式の意味をきちんと理解できるかがポイントです。(3)は方針は明確ですが計算量が多く、残り時間に応じて解くか判断しましょう。途中過程は見られないので時間が無ければ全く手をつけず他の問題の見直しをしてもいいでしょう。
目標点
以上の考察を踏まえた目標点は以下の通りです。素早く問題の取捨選択ができたか否か、計算ミスなく解けたかどうかで点数に差はつきそうなセットでした。比較的問題の難易度は高くないため合格最低点も高く、合格には高得点が必要になります。また英語も同じ制限時間内に解きますので英語の得手不得手によっても数学にかけられる時間は変わってきます。おすすめなのは基本的に英語から解くことです。数学と違い、1つの問題に長時間かけてしまう可能性が低いのでまずは英語の長文から始め、次に文法、残り時間が70分になったら切り上げるといった戦略がおすすめです。長文を読んでいる途中で切り上げるのはよくないですが、文法問題はそんなに大きな問題になりません。可能であるなら英語は60分以内で終わらせて、数学に80分残すことができればベストです。数学の問題もまずは解ける問題から解いていき、残り時間を見ながら見直し、解けない問題に挑戦といった時間配分にしましょう。今年の問題であるなら②(15分)⇒③(15分)⇒④(10分 (3)は残す)⇒①(20分 (4)は残す)⇒見直し⇒残り
このように時間配分を割り振れば大失敗はしないと思われます。各自過去問を通じて自分なりの時間配分の練習と問題を見分ける訓練をしてみましょう。過去問だけで足りないといった方向けに当塾では昭和大の入試形式に似た問題も作成していますので、興味のある方は是非お問合せください。

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