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2022年度 入試分析 京都大学理系数学

みなさんこんにちは。今日は今年の京都大学理系数学の入試問題の分析をおこなっていきたいと思います。実際に解いてみまして解きながら、あるいは解き終わってから感じたことをまとめてみました。


難易度について


昨年比ですとそこまで難易度は変化していませんが、若干難しくなったと感じました。後述しますが、今年の京大数学は計算量が減った一方で、論証力が重視されている出題になっています。数学が得意な人は計算ミスすることなく高得点を目指せたと思われます。一方で数学が苦手な人は小問で部分点を狙える問題が少なく苦労したと思われます。目標点数は医学部は75% 他理系学部は60%といったところでしょうか。以下各大問についてコメントをしていきます。


第1問 log2022の評価 難易度B


数学が得意な人はあっさり解けてしまうであろうlogの数値評価の問題です。京大は指数、対数の数値評価の問題が頻出なので、京大対策をきちんとしていた方には解きやすかったと思われます。(2019第6問 2005第2問)発想力というより今までに経験をしたことがあるかが重要な問題です。数字に対するセンスとして2の11乗=2048は覚えておきたいところです。


第2問 確率 難易度B


京大数学としては標準的な確率の問題です。素直な解き方としてはY=kとおいてΣ計算をする解法ですが、実は上手く数える方法があり、今年の東大数学の確率も同じテーマの問題でした。難関大では近年あまり見られなかった不等式を満たす整数の組合せを〇と棒に対応させて数える考え方です。この問題は過去問演習より青チャートや1対1対応の数学といった典型問題集をやりこんだ人の方が有利だったと思われます。どのような解法でも正しい答えを導き出せれば問題ありませんが、解法のストックや計算ミスしにく考え方を多くもった人の方が数学の得点が安定します。京大お得意の確率漸化式の勉強ばかりでなく、一度標準的な場合の数の数え方が使える状況を整理してみることをお勧めします。


第3問 数列 整数 難易度C


東大でも京大でも阪大でも(たまたま?)出題された複数の整数の最大公約数の問題です。いつもの京大数学お得意のmod3の考え方だけだと答えに辿り着けないという点でアレンジされていますが、実験をすれば答えの予想はつくと思われます。その一方できちんと論理だてて解答をつくるには少し難しいので、試験場では分かりそうで分からないと苦労した人が多いと予想されます。最大公約数の論証は昔の京大数学やマスターオブ整数に類問がありますので整数問題の勉強をしっかりした人は周りと差がつけられる問題だったと思われます。


第4問 空間図形 ベクトル 難易度B


京大お得意の空間ベクトル使って解く空間図形の問題です。標準的な国立大学の入試ではベクトルが与えられますが、解法の選択を自分でしないといけない点が京大をはじめとする難関大入試の特徴です。今回はOACを底面にすると等脚四面体になりますのでBを始点に基底ベクトルを定めましょう。ベクトルの立式さえできてしまえば後は典型問題です。また空間図形を考える上で必須の対称面の考察ができた人は計算が楽になったと思います。


第5問 微積分 難易度B


数Ⅲの微積分の標準的な問題ですが、この問題は今年の京大入試入試において特徴的な出題と感じました(1)の計算は絶対に間違えられません。京大数学の積分としては簡単すぎます。難関大受験生はウォリス公式の暗記は必須です。積分計算をしなくても絶対に正しい答えが分かるウォリス公式は入試では検算にも重宝しますので、きちんと覚えておきましょう。

(2)は予め答えが与えられています。恐らく解答に使う文字を統一させたかった意図と思われますが、微分して得られた計算結果が与えられてると計算ミスするリスクがかなり下がりますので、受験生にはかなりありがたい配慮です。(3)は第1問と同じく数値評価の問題とこれも計算があまりいりません。勘のいい受験生なら9/16という数字から逆算して答えが出せたでしょう。他の大問もそうですが、この大問で顕著なように今年の京大は計算力があまり重視されていない点がなんとも奇妙です。計算力のある生徒より論証力のある生徒を求めているのでしょうか?


第6問 数列 難易度C


この問題は見慣れない数列の一般項を求める問題ですが、第3問と同様に実験をすれば気づくことが出来ます。数値評価といい、実験による考察といい出題内容にかなり偏りがあると感じました。2021年第3問でも三角関数を含む数列は出題されていますので、見た目にビビることなく、丁寧に場合分けすれば簡単な数列になります。このような入試問題を解く上で必要なマインドは「必ず答えが求まる」というものです。見たことない数列ですが、XnやYnの一般項ではなく、Xn-Ynを求めよと書いてあることから、上手く答えが求まるのではないか?と考えて取り組むことが大切です。僕はこの出題者の意図を汲み取る能力は入試数学においてとても重要だと考えており、僕の授業でもよく生徒さんに出題意図は何か?とたずねています。皆さんも難関大の入試問題を解く上で出題意図を考えながら解いてみることをお勧めします。


どの大問を解くべきか


今年の6問セットですと、第1問、第2問、第4問、第5問の中から2つは完答が欲しいところです。京大対策をしっかりしてきた人は第1問や第4問は完答を目指したいところです。

数学Ⅲが得意な人は第5問、確率が得意な人は第2問も完答が狙えますが、確率は検算がしにくいのが不安要素です(n=5はすぐできる)

数学が得意な人は第3問と第6問のどちらかを完答したいところです。完答は厳しくても、実験の結果を論理立てて並べるなど、粘った成果を得点につながる形にかけたかが鍵になるでしょう。


僕が実際に解いた時には前から順に解きましたが、受験生なら第1問や第5問といった完答しやすく、計算ミスがしにくい問題から取り組むことを推奨します。1問でも完答があると気持ちがかなり落ち着きます。これは実際に受験会場でないとなかなか味合うことのできない感覚ですが、模試などで自分なりの作戦を試してみてください。



来年以降京大を受験する人


2020年度はとても難しかった京大数学ですが、ここ2年は解きやすい難易度に落ち着ています。来年以降どのような難易度の問題が出題されるかは分かりません。しかし、入試は相対評価なので、簡単になっても難しくなっても周りの受験生より良い成績をとる必要があります。そのためにやるべきことは


1過去問の研究

2計算力の向上

3苦手を作らない


の3つです。1の過去問研究は5年分と言わず、25か年を購入し、京大入試で実際に出題された問題を解いて研究しましょう。京大は旧帝大の中でも一貫したテーマがクリアな大学です。特に図形、整数は特徴的な出題が多くみられます。この特徴を把握し、京大で頻出のテーマを全て習得することが京大合格への第一歩です。独学での研究が難しい場合は、大手予備校の京大対策を受講したり、以下のような参考書を利用して学習を進めましょう。



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2の計算力は特に積分計算をさします。今年の問題は計算量が少なかったですが、京大では積分計算がそのまま小問で出題されるほど積分計算が重視されています。教科書レベルの積分はもちろん、基本的な積分は全て瞬時に解けるようにしておきましょう。また積分計算に限らず、普段の数学をの問題を解く際にも計算ミスをないがしろにせず、計算ミスしないための工夫を常に意識しましょう。あの計算ミスが無ければ合格していたのにといった後悔をしないためにも計算ミスに対して真摯に取り組みましょう。


3の苦手をつくらないは周りに差を付けられないためです。入試で簡単な問題が苦手分野であった場合、周りの受験生と差がつけられる可能性が高くなります。数学に限らず、苦手分野をつくることは本番で失敗するリスクが高まります。合格率を高めるためにもこれからまだ1年時間がある受験生の方はしっかり苦手分野をつくらないような勉強をしましょう。



医学部予備校レユシール

東大医学部 片山湧斗



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